土地を相続したけど手放したい!「相続土地国庫帰属制度」とは?

「相続土地国庫帰属制度」気になる費用は?
このAさんからの相談を受け、私が紹介した制度が「相続土地国庫帰属制度」です。今回は気になる「相続土地国庫帰属制度」の費用面などについて、深掘りしてゆきます。
▶「土地を相続したけど手放したい!『相続土地国庫帰属制度』とは?<前編>」はコチラから
Aさん:
「相続土地国庫帰属制度」について、大まかな内容は理解できました! ありがとうございます。まずは該当する土地が要件を満たすか否かを確認し、(法務局、もしくは地方法務局へ)相談に行くのがよさそうですね。
齋藤:
相談した後も申請書類の作成や審査などで、ある程度の時間を要すると思います。こういった内容は、つい後回しになってしまいますよね。気付けば数ヶ月経っていた……というケースも多いので、動ける間に進める方がよいかもしれません。
Aさん:
ただ、ちょっと気になるのが費用です。前回、まずは審査手数料として<土地1筆当たり1万4000円>が必要になるとお聞きしました。もちろんこれは、審査が通らなくても戻らない費用ですよね?
齋藤:
そうですね。申請後に取り下げたり、審査が通らなかった場合でも返金されることはありません。
Aさん:
さらに申請書類の作成(司法書士などに依頼)や土地の測量など、細かい費用もかかりますよね? この辺りはある程度仕方ないとは思うのですが……。最終的に承認された後の負担金まで考えると、お恥ずかしながら「少しでも費用を抑えられたら」と考えてしまいます。
◆負担金について/承認を受けたどのような種目に該当するか、どのような区域に属しているかにより、負担金が決定する。(具体例)宅地や田、畑など:面積にかかわらず20万円。森林:面積に応じて算定。
▶ 法務省のホームページもあわせてご確認ください。
費用の負担を軽減させる方法も?
齋藤:
いえ、そう思うのは当然ですよ。Aさんに近いケースの方から相談された際も、「せっかく土地を手に入れたのに、いろいろと負担ばかりで……」といった声がありました。そういう点から、もう一つお伝えしたいことがあります。たとえば地域によっては、土地を相続したことによる<費用の負担を軽減させる方法>もあるんです。
Aさん:
そうなんですか? ぜひ教えてください。
齋藤:
はい。静岡県富士宮市の事例をご紹介します。こちらには「小規模森林整備補助金」という制度があり、「申請者は市内で森林を所有する個人であること」「補助金交付後も5年間、森林として整備する土地であること」などの交付条件を満たし、申請後に交付が決定した場合、小規模森林事業に要する経費の2分の1が補助される仕組みとなっています。こういった制度を活用すれば、土地の測量代にかかる費用負担などを軽減できるでしょう。
▶ 富士宮市のホームページもあわせてご確認ください
Aさん:
なるほど〜。これまで、こういった地方自治体による制度などは、「自分には関係がなさそう」と、ほとんど目を向けたことがありませんでした。「どうせ費用がかかるから」と制度の活用を諦めてしまう前に、まずは情報収集をした方がよさそうですね!
齋藤:
おっしゃる通りです。新たな制度が設けられることもあるので、少し意識してアンテナを張りながら、ご自身にとってベストな選択をしていただければと思います。