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耳より情報
2025年05月30日 [耳より情報]

相続の話で耳にする「遺留分」について弁護士が解説!

オーケストライフでは、皆さまのお役に立てるくらしや住まいの耳より情報を定期的に発信していきます。今回は、LM総合法律事務所の代表パートナー弁護士竹中 一真が「相続の話で耳にする『遺留分』について弁護士が解説!」と題してお話しします。




「遺言書に書かれた内容がすべてだと思っていましたが、遺留分については従う必要があるって本当ですか? それなら助かるのですが……」先日、神奈川県在住・50代男性(以後、Aさんと表記)からこんな相談を受けました。最近は、「遺留分って何ですか?」という質問を受けることも多くなりました。

遺留分とは、<法で定められた一定の相続人が有する最低限の相続分>です。相続は、遺言書がある場合には、原則としてその内容に沿って行われますが、その際には遺留分に注意する必要があるのです。そこで今回は、こちららの相談をもとに「遺留分」をテーマにお話しさせていただきます。


Aさん:

先日、父が亡くなりました。私は兄と弟の3人兄弟で、その兄から「お父さんが遺した『公正証書遺言』がある」と言われたのですが……。内容を見てビックリ! すべての財産を兄に渡すと書かれていて、私は納得ができません。「遺留分を請求できれば、状況が変わるよ」とも聞いたので、その辺りも含めて教えてください。


弁護士:

なるほど。相続に関するご相談ですね。まず確認したいのは、お父さまの状態です。遺言を作成していた頃、認知の症状はいかがでしたか?


Aさん:

おそらく認知症の診断は出ていなかったと思います。もちろん、年齢的な物忘れはあったようですが。


弁護士:

ありがとうございます。遺言書を作成された際、認知症などで遺言者に「遺言の内容を理解し、遺言によってどのような結果になるか理解できる能力」(遺言能力)がなかった場合、遺言は無効になるため確認しました。お父さまの状況ですと、遺言の効力を争うのは厳しいかもしれません。では、<公正証書遺言が有効>という前提でお話しを進めていきますね。


Aさん:

わかりました。お願いします。




弁護士:

遺言が有効の場合、相続については<遺言の記載どおり>従わなければいけません。相続人は、どなたでしょうか?


Aさん:

母と兄、弟、私です。


弁護士:

お母さまと3人のご兄弟が相続人ですね。今回のように、遺言には<お兄さま1人に相続財産を渡す>とあったとしても、「遺留分」として最低限の相続財産を請求することができます。


Aさん:

ぜひ詳しく教えてください。


弁護士:

今回のケースでは、配偶者であるお母さまは2分の1。ご兄弟はそれぞれ6分の1の法定相続分があります。遺留分は、配偶者と子どもの場合は、法定相続分の2分の1です。お母さまとAさん、弟さんはそれぞれ遺留分を侵害された分として、金銭を支払うよう請求することができます。


<請求できる遺留分>
お母さま:2分の1 × 2分の1 で4分の1
Aさんと弟さん:6分の1 × 2分の1 で12分の1

※遺留分は、相続人が直系尊属のみの場合は3分の1で、その他の場合は2分の1。

Aさん:

なるほど、理解できました! ちなみに父には妹がいますが、この場合「遺留分」はどうなりますか?


弁護士:

今回は、配偶者と子が相続人になりますので、そもそも兄弟姉妹は相続人ではありません。仮に子がなく、お父さまの妹さんが相続人になったとしても兄弟姉妹には遺留分はありません。


Aさん:

ありがとうございます。ではさっそく、遺留分の請求方法について教えてください。



弁護士:

具体的な方法としては、「遺留分を侵害しているため、遺留分の侵害額に相当する金員を支払ってください」と、お兄さまに通知を出します(これを遺留分侵害額請求という)。法律上、相続人は遺留分を請求することができる旨が定められていますが、請求をするかどうかはあくまでも相続人の意向。まずは、お母さまと弟さんに確認する必要がありますね。


Aさん:

さっそく、母と弟と話してみます。また、父はアパート経営も行っていたので、いくつか不動産があるんです。それは、どのように分けるのでしょうか?


弁護士:

かつては、遺留分として不動産の持分を請求していたのですが、法改正があり金銭請求となりました。その<評価額をいくらにするか?>が重要な点とも言えます。


Aさん:

ありがとうございます。高齢となった母が1人暮らしとなり、これから高齢者施設への入居も視野にいれなければいけません。いずれにしても、ある程度まとまった金額が必要になると思うので、「遺留分」について母と弟の意向を確認したら、またご相談させてください。ちなみに、遺留分の侵害についての請求期限はありますか?


弁護士:

「遺留分侵害額請求権」は、遺留分の侵害を知ったときから1年、相続開始のときから10年が経過すると消滅します。前者を消滅時効期間、後者を除籍期間といいます。


Aさん:

1年……意外とあっと言う間に過ぎそうですね。早めに動いていきます。


弁護士:

はい。また何かご不明な点があれば、ご相談ください。お待ちしております。


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